「東大卒」で活躍できる人とできない人の違い 「人工知能革命」の荒波を越える力とは何か

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社会に出て活躍する前に何を身につけるべきなのでしょうか(写真:iStock/kool99)
東大卒の半分が失業する時代が来る――東大生が得意とする「論理思考力」と「知識修得力」が人工知能革命によって武器にならなくなるかもしれない。それでは、人工知能によって代替されない人間だけの能力とは何か? 
世界中の多くの識者が共通して、それは「クリエイティビティ」「ホスピタリティ」「マネジメント」の3つの能力だと指摘している。田坂広志氏の著書『東大生となった君へ ‐ 真のエリートへの道』を基にクリエイティビティ=知的創造力をどのように身につければよいのか説明する。

 

世の中では、東大生や東大卒の人間は、よく「頭が良い」と言われる。

しかし、実は、東大生や東大卒の人間の「頭の良さ」とは、偏差値教育の基準における「頭の良さ」にすぎない。

そして、偏差値が高いという意味での「頭の良さ」とは、端的に言えば、「論理思考力」と「知識修得力」に優れているということだ。すなわち、論理思考力に優れていれば、入試において物理や数学は高い点が取れる。また、知識修得力に優れていれば、日本史や世界史、生物や化学、英語で高い点が取れる。そのため、論理思考力と知識修得力が優れていれば、偏差値が高くなり、東大に入れるというのが、現在の入試の仕組みだ。

現在、全国の大学入試改革において、AO入試や推薦入試を始め、論理思考力と知識修得力以外の能力も評価するための努力はなされているが、残念ながら、東大入試の基本的な仕組みは、大きく変わってはいない。

もちろん、この論理思考力と知識修得力において優れているということは、決して悪いことではない。しかし、これからの時代、それが武器にならなくなる可能性が高い。
なぜか。

「人工知能革命」の荒波が到来するからだ。

東大卒の人材が得意とする能力は人工知能の方が高い

よく言われるように、「論理思考力」と「専門的知識」を活用する能力は、人間よりも人工知能の方が、圧倒的に高い。

従って、もし、東大卒の人材が、「論理思考力」と「知識修得力」という「学歴的能力」だけに頼って仕事をしていると、その仕事は、必ず、人工知能に置き換わっていくだろう。

また、現在の「知的職業」の多くが、「専門的知識」と「論理思考力」だけで仕事をしている。そのため、専門的知識の活用と論理思考力の発揮において圧倒的な強みを持つ人工知能が普及してきたとき、これらの職業の半分が淘汰されることは、決して大袈裟な話ではない。それゆえ、こうした時代の変化を読めないと、たとえ東大卒であっても、その半分が失業する可能性がある。

では、これから、人工知能が人間の知的労働の多くを代替していく時代において、人間が担うべき仕事は何か。人間だけが担える仕事は何か。
言葉を換えれば、「人工知能革命の荒波を越えて活躍する人材」の条件は何か。

実は、このテーマは、毎年、世界中の大統領や首相を始めとする政界、財界、学界のトップリーダーが集まる「ダボス会議」で、何年にもわたって議論が行われてきた。私は、この会議を主催する「世界経済フォーラム」のGlobal Agenda Councilのメンバーを務めてきたことから、この議論にも、深い興味を持って関わってきた。
この議論の中で、世界中の多くの識者が共通に指摘することがある。
それは、人工知能が代替できない人間の能力として、「三つの能力」があるということだ。

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